シネマレビュー その36 『X-MEN アポカリプス』
X-MEN新三部作シリーズの完結編。かつて世界を支配していた人類最初のミュータント・アポカリプス(オスカー・ アイザック)が復活した。再び世界の王にならんとする彼を止めるべく、プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)の下に集った若きミュータント達が戦いを挑む。
いろいろ、文句はあるけれど・・・(^^;
2000年の第1作から数えること通算8作目となる本作。
アメコミ映画は数あれど、同一シリーズでこれほど長期間製作され続けているシリーズはX-MENを置いて他にありません。
とくに驚かされたのが前作『フューチャー&パスト』。
トリッキーな物語構造によって旧三部作を含むシリーズ全体を根底から仕切り直してしまったことで、新三部作を前日譚でありながら、スターウォーズなどで顕著だった“辻褄合わせ”から解放したんですね。それにより、お馴染みのキャラクターを再登場させつつ全く新しい物語を紡ぐことが可能になったわけです。
そうして、満を持して公開されたシリーズ完結編となる本作でしたが・・・
いくらなんでも、ちょっと詰め込み過ぎでした(笑)
よく言えば正に集大成といった豪華さでじゅうぶんに満足出来る仕上がりにはなっているんですが、一つ一つのパーツを個別に見ていくと何とも消化不良が目立ってしまうんですよね。
前作から続くドラマの決着に加え、新世代メンバーの紹介と活躍、そして究極のミュータントであるアポカリプスの脅威、それに対抗するX-MENの戦い・・・と、描くべき要素が余りに多く、結果的に全ての要素が薄くなってしまったようです。
とくに物足りなかったのがアポカリプス。神と崇められるほどの最大最強の敵であるはずの彼ですが、振り返ってみるとよくわからない理由で復活し、よくわからない理由で怒り、よくわからない方法で人類に宣戦布告をする・・・ってコレ、観ようによっては「近頃の若いモンは・・・」的な不満を爆発させただけのようでもあるわけで(^^;
神の名に恥じない存在感を発揮していたかと言うと、少々微妙なところだったのが残念でした。
その一方で、サイクロップス、ジーンをはじめとするオリジナルメンバーについては文句なしの大活躍でした。旧三部作では悲愴な最期を遂げてしまっていた彼らでしたが、今回は各々が持てる力をフルに活かして仲間と協力し合い共通の敵と戦うという、まさにヒーローものの王道展開!
『ファイナル・ディシジョン』から10年、観たかったものがついに観られたという感動。これこそ、シリーズの集大成たる本作ならではの感動だったと思います。
そして個人的にもっとも嬉しかったのが、プロフェッサーとモイラ(ローズ・バーン)のラスト。この場面の感動だけで何かもう、全て許せてしまいました(笑)
色々文句も書いてしまいましたが(笑)、リメイク、リブートが乱立する近年の映画界において、シリーズ作品の在り方について新しい方向性を示してくれた良質な三部作だったと思います。何はともあれ5年間、ありがとうございまいた。
札幌市内で『X-MEN アポカリプス』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。
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