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シネマレビュー その27 『スキャナー 記憶のカケラを読む男』

category :  2016.5.12 

scana 千石和彦(野村萬斎)には物や場所に宿った残留思念を読み取る特殊な力があった。以前はその力を使いお笑 い芸人として世間から注目を浴びたこともあった彼だが、人の持つ暗部ばかりを見せられたことで人間不信に陥っていた。

そんなある日、かつての相方・マイティ丸山(宮迫博之)からある行方不明事件の調査協力を依頼され・・・

 

映画と2時間ドラマの違い

 

本作の脚本は古沢良太さん。個人的に大変お気に入りの脚本家さんです(^^)

 

ぼくが思うに古沢氏の真骨頂は、『鈴木先生』や『リーガルハイ』のように既成の概念に疑問符を突きつける非常に挑戦的なテーマの選定、それでいながら万人を納得させてしまうだけの巧みなロジックを有した話の落とし方にあると思います。

 

しかも監督にはあの『平成ガメラ』の金子修介氏、さらに現代劇初主演となる野村萬斎氏と話題に事欠かない作品だったのですが・・・

 

結論から言えば、良いところもたくさんありながら全体的にみてあまり印象に残らない作品となっていたかと思います。

 

まず期待していた古沢氏の脚本ですが、前述した挑戦的な姿勢といったものは本作では抑えられており、どちらかといえば純然たるミステリー作品としての完成度を高める方向に注力した印象を受けました。

 

とはいえ、ミスリードを多分に含んだ導入部や最後の最後まで伏線の回収に努めたシナリオは、期待した内容とは違えど十分に満足のいくものだったと思います。

 

しかし、そういった長所を掻き消してしまっているのが演出の部分です。

 

まず気になったのは作品が始まってすぐ。主要スタッフ・キャストの名が妙に大きな赤文字で「どど~ん!」と表示され、次にバラエティ番組のOPのようなコミカルな映像と共にタイトルが現れる。

 

また、躍動感に乏しい平面的な映像も含め、どうにも“映画を観ている”という感覚に陥らないんですよね(^^;

どちらかといえばテレビの2時間ドラマのような雰囲気に非常に近いんです。

 

今や自宅にいながら高品質の映像で最新映画が観られる時代。

 

そんな時代に“映画としてのスケールを~”なんて言うのは前時代的なのかもしれませんが、やっぱり映画は劇場で観るのがいちばんと信じて疑わない自分としては、どうしても気になる部分ではありました。

 

大きなハコの大きなスクリーンで観る以上、そこに映えるだけの強度を持った画と音は備えていてほしい。

 

改めて、“映画とテレビの違い”について考えてしまった2時間でした。

 

ただ、“気味が悪いけど妙に品のある”千石のキャラは非常に面白いもので、ここは野村萬斎氏のキャスティングが見事にはまっていたと思います。

 

宮迫氏との軽妙なやり取り含め、肩の力を抜いて楽しむにはうってつけの作品だと思いました。

 

札幌市内で『スキャナー 記憶のカケラを読む男』を上映している映画館は「ユナイテッドシネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

 

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