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シネマレビュー その26 『ちはやふる -下の句-』

category :  2016.5.7 

26 “かるたバカ”こと綾瀬千早(広瀬すず)が幼馴染の太一(野村周平)らと共に立ちあげた瑞沢高校競技かるた部。見事全国大会出場を決めた彼らだ が、目標とする新(真剣佑)からかるたを辞めると聞かされ、激しく動揺する。さらに彼らの前に、同い年ながら全日本クイーンに輝いた若宮詩暢(松岡茉優)が立ちはだかり・・・

 

みんながいるから

 

近年多くみられる前後編連続という公開型式。とはいえ、なかには二本に分けた意味が感じられないものも多く、一概に称賛すべきモデルではないと思っていました(とくに進撃の巨人とか進撃の巨人とか・・・(笑))

 

しかし、事前の予想を大きく覆す秀作だった『ちはやふる -上の句-』。

後篇となる下の句は、上の句の物語を見事に発展継承した、これまた見事な青春群像劇となっていました。

 

思うに上の句は、“個”“集団”を形成していくまでの物語でした。

一人ひとりの想いとプライドがぶつかり合いながら、

“如何にチームとしてまとまっていくか”が物語の肝であったわけですね。

 

そんな上の句に対し、下の句は敢えて真正面から疑問を突き付けます。

 

集団を形成することが、本当に最善の結果につながるのか?

集団を形成することで、本来の目的を見失うことになりはしないか?

 

そこで登場するのが誰とも交わらず、ひたすら自分自身と向き合いかるたの腕を磨き続けてきたクイーン・若宮詩暢です。

 

“個”の力を重んじる若宮と、“集団”で戦いを挑む瑞沢高校のメンバーたち。

 

そして特筆すべきは、このドラマの帰結するポイントが勝負の結果そのものではなく、その過程にあるということではないでしょうか。

 

上の句では太一や机くんといったサブキャラクターのドラマがそのまま全国大会出場を賭けた勝敗の行方に直結していたのに対し、本作はより個人の内面的なドラマへと踏み込んでいるため、最終的に得られるカタルシスといったものはさほど重要視されていないんですよね。

 

しかし、かるた部のメンバー、かつてのライバル達、さらには目の上のタンコブだったはずの吹奏楽部のメンバーたちにまで支えられることで、“集団にいなくては辿りつけない境地”というものを非常にロジカルかつテンポよく描き出しているんです。

 

そして、そんな彼らの姿に感化され、再び自分の歩むべき道を取り戻していく新の姿を並行して描くことで、

“勝敗以上に大切なものがある”という、ありきたりですが確かな真理を最後の最後まで貫徹しています。

 

娯楽性という面では上の句と比較して目減りしているのは否めず、その点で評価の分かれる作品ではあると思います。

 

しかし、そんな批判を恐れず敢えてこのような方向性に舵を切った本作を、ぼくは全面的に支持したい。

 

そして彼らが歩むであろう明るい未来を予感させるラストも含めて、青春映画史上に残る極めて良質な二部作が誕生したことを、非常に嬉しく思います(^^)

 

札幌市内で『ちはやふる-下の句-』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

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