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シネマレビュー その8 『未知との遭遇』

category :  2016.1.6 

1977年公開のスティーブン・スピルバーグ監督によるSF映画。michi

電気技師のロイ(リチャード・ドレイファス)は謎の光に遭遇したことがきっかけで、何かに取り憑かれたようにその正体を探ってゆく。一方メキシコの砂漠では、第二次大戦時に行方不明となった戦闘機が発見され・・・

 

1月8日、スピルバーグ監督最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』が公開されます!それを記念して今回は、スピルバーグ監督の原点ともいえる本作についてご紹介しようと思います。

 

私は宇宙人

 

SF映画の名作として知られる本作。UFO出現時の幻想的な映像や音楽だけを切り取れば、歴史に名を残すのも頷けるだけの風格がありますよね。

でも、物語の順を追って観ていくと正直評価の難しい作品だと思うんです。

 

その理由は、とにかく“主人公に感情移入できない!”という一点に尽きるのではないでしょうか。

 

自らが遭遇した光の謎を解き明かすことに躍起になる主人公。それ自体はミステリーとしての面白さを発揮してはくれますが、奥さんや子供もそっちのけで没頭し、挙句の果てに家から追いやってしまったのでは、さすがに彼に共感できるなんて人、いないですよね(^^;

 

それもそのはずで、本作はほとんどスピルバーグ監督の自伝と言っても過言ではないくらいに特異な作品なんです。だから、心温まる感動作と思って観たら大変なことになるんですよ(笑)

 

スピルバーグ監督の少年時代は決して幸福とはよべないものでした。ユダヤ人の家系に生まれた彼は、両親の離婚、学校でのいじめなどで居場所をなくしていたんですね。

 

いつしか彼は自分を宇宙人と思い込み、宇宙の果てから救いが来るのを求めていたそうです。

 

周りのみんなは自分を理解してくれない。でも、宇宙のどこかにはきっと、自分を迎え入れてくれる人がいる―

 

本作の結末は、そんな監督の不遇な少年時代の願望そのものなんです。

 

ただ後年になって監督自身、本作のラストは若気の至りだと後悔したそうで、やがてその想いは『E.T.』によって昇華されることとなります。

 

監督の作品群を順を追って観ていくと面白いのは、最初期の作品である『激突!』などでは一方的に向けられた敵意のみを描いていたのに対し、近年の作品では単純な善悪の構図を避け、対立する価値観を持った者同士の“融和”を積極的に描こうとしている点だと思うんです。

 

主義主張を押し付け合うのでなく、それぞれが正面から向き合い、理解していく努力をする―

 

そんな監督の成長と優しさが見て取れる気がします(^^)

 

最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』も、アメリカ人弁護士とソ連スパイの友情を描いた物語になるそうです。

 

つらい経験を重ね、宇宙の果てに救いを求めたスピルバーグ少年。

しかし、彼が大人の映画作家として花開いたのも、少年時代に知った孤独という痛みがあってこそだったのでしょうね。

 

監督の今後の作品にも大いに期待です!

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