シネマレビュー その39 『スーサイド・スクワッド』
『バットマンvsスーパーマン』につづくDCユニバース第三章。
アメリカ政府は新たなる危機の襲来に備え、スナイパーのデッドショット(ウィル・スミス)、狂人ジョーカー(ジャレッド・レト)の恋人ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)ら服役中の犯罪者を集め、タスクフォースX、通称スーサイド・スクワッド(SS)を結成した。失敗すれば死が待つという極限の状況下で、極悪集団の戦いが幕を開けた・・・
意外とみんな、いい人たち(^^;
映画界においてはマーベル・コミックに大きく水をあけられた格好のDCコミック。しかし、本作はそんなDCにとって起死回生の一作となるべき作品のはずでした。
何といっても、監督にデヴィッド・エアー!
スラム街で常に犯罪と隣り合わせの中生きてきた経験を『エンド・オブ・ウォッチ』(2012)などといった作品で見事に昇華させてきたエアー監督。そんな彼がアメコミ映画を、しかも犯罪者集団が主役の映画を手掛けるとなると、そりゃあ期待するなというほうが無理な話です(^^)
しかし、実際に観た感想は・・・
う~ん。
悪くはないんだけど、なんていうかコレジャナイような・・・(笑)
少なくとも、高まるだけ高まった期待値を越える出来には及ばなかったのではないでしょうか。
理由は色々ありますが、何といってもオープニングがまずかったと思います。
デッドショットやハーレイ・クインをはじめとするSSのメンバー紹介が行われるのですが、これがもうとにかく退屈で(笑)
ふつう、こういったものは物語の進行に合わせて簡潔に行っていくものだと思うのですが、本作の場合は工夫なく一人ひとりを延々と紹介していくだけなので、物語の進行が始めの時点で完全にストップしているんですよね。そのため、ようやくお話が動き始めるころには既にこっちはお疲れムードで(^^;
また、感情移入のためSSメンバーの背景を描きこむのはいいんですが、あまりにも話がウェットに振れすぎているため観ているこちらが本当に同情をしてしまうレベルなんですよ。だから、“史上最狂の極悪集団”というキャッチにも関わらずぜんぜんワルに見えないという・・・(笑)
極悪人と思いきや、意外とみなさんいい人たち。これでは事前の期待を越えるのは難しいでしょう。
良かったのは、多くの方がおっしゃるとおりマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クイン!
彼女だけが演技のテンション含め唯一、本作に完全にフィットしていたといえると思います。ただ、言い換えれば彼女がいないと本当に目も当てられない作品になっていた気が・・・(^^;
そう考えると、そこだけ手放しで称賛するのもちょっと考えものですね。
作れば作るほどマーベルとの差が開いていくかのような残念な現状。
個人的には非常に悲しいものがあるので、DCにはつづく『ワンダーウーマン』にて今度こそ挽回してほしいと切に願います。
札幌市内で『スーサイド・スクワッド』を上映している映画館は「ユナイテッドシネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。
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