☆シネマレビュー その2 『007 スペクター』
2012年の『007 スカイフォール』につづくダニエル・クレイグ版007シリーズの四作目。
少年時代を過ごした生家「スカイフォール」で焼け残った写真を受け取ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)。その写真に隠された謎を探るべく単身メキシコ、ローマへと赴いたボンドは、悪の犯罪組織「スペクター」の存在を突き止めるが・・・
ダニエルボンド、完成形にして集大成!
シリーズ開始から50年余、つねにマンネリズムとの戦いを抱えていた007シリーズは、06年にダニエル・クレイグを新たなボンド役に迎えたことでその作風を一新しました。
これまでになくダークでシリアス、そしてリアリティ溢れる展開は多くの映画ファンから歓迎されましたが、一方で従来の007ファンから戸惑いの声が上がったのも事実でした。
しかし、そんなダニエル版ボンドもついに四作目。 独自色を打ち出しながらも着実にかつての007映画の精神を継承し続けた本シリーズは、本作をもってついにその完成形を見せたといって差し支えないと思います。ひとことで言えば、「革新と伝統の融合」といったところでしょうか。
まずは「革新」の部分。
これまでのリアル路線を守りつつ、続編であるという利点を最大限活かしたスピーディな導入部とキャラクター描写が可能となった結果、エンターテイメント作品としてより魅力的な仕上がりとなっていたと思います。
そして「伝統」の部分。
ボンドカー!
秘密兵器!
ボンドガールとのロマンス!
悪の犯罪組織!
・・・初期の007映画の“お約束”といえる部分ですね。
本作が素晴らしいのは、これらの要素を単に“お約束”として安易な処理をせずに、「2015年の007映画」としてしっかりとリファインさせ、「革新」の部分と密接に結びつけているということなんです。ここに、本作を完成形であり集大成だと思った理由があります。
『カジノ・ロワイヤル』より端を発したダニエルボンド。当初は確かに、意図的な伝統の破壊がありました。しかし、今思えばそれも新たな007映画を世に送り出すために必要な過程だったのでしょう。
解体された伝統が、革新によって新たに生まれ変わった真の現代版・007!
007ファンなら絶対必見のシリーズ最高傑作と断言します!
札幌市で 『007 スペクター』映画を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。(2015年12月5日時点)
comment closed