シネマレビュー その25 『シビルウォー キャプテン・アメリカ』
圧倒的なパワーで世界を守り続けてきたキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)をはじめとするアベンジャーズたち。しかし、その戦いの中で副次的に 発生する被害に対し次第に世界は疑念の目を向け始め、ついに彼らの活動を国連が管理するという協定が提出される・・・
信じるもののために
本家『アベンジャーズ』をも凌駕する娯楽性と、寄る辺なくやるせないラスト。
マーベル・シネマティックユニバース(MCU)第三章の幕開けに相応しい、圧巻の傑作でした!
考えてみれば、ヒーローの存在意義なんて非常に危ういものです。
人々の安全や生命を脅かす闇があるからこそ、それを打ち倒す光が際立ち、そして必要とされる。絶対的に糾弾されるべき悪しき存在こそが、ヒーローをヒーローとして確立させてきたに過ぎなかったのです。
では、闇のない世界で光は存在しうるのか?
本作で描かれるのは対立する価値観を持つヒーロー同士の争いです。
世界的な権力に身を委ねるべきと唱えるアイアンマン陣営。
自身の正義を信じ続けるべきと訴えるキャプテン・アメリカ陣営。
どちらの言い分にも一定の論理があり、また矛盾もある。
タイトルからも分かる通り物語の中心に据えられているのは基本的にキャプテン・アメリカですが、繰り広げられる戦いには明確な答えがなく、どちらの陣営に心を委ねるかは完全に観る側に選択の自由が与えられているんですね。
この構造が非常に斬新でした。
この辺り、同じくヒーロー同士の争いを描いた『バットマンvsスーパーマン』が最終的には両者にとって共通の敵を登場させることで物語そのものの着地を試みていたのとは実に対照的です。
また、非常に感心したのが作品全体を貫くバランス感覚の良さ。
両陣営の対比の公平さに加え、ついに今回からMCUの世界観に登場した新生スパイダーマンや、アベンジャーズと本格的に顔合わせしたアントマンらのコミカルな活躍のお陰で、アメコミ映画らしい爽快感も十二分に維持。陰鬱な方向に振れ過ぎる恐れのあった物語を見事にエンターテイメント映画としても成立させています。
とくに注目すべきは、やはりスパイダーマン=ピーター・パーカー!
アイアンマン=トニー・スタークの口からその名を呼ばれるだけでも何だか感慨深いものがあるのですが(笑)、それ以上に心に残ったのが彼の口から発せられたある言葉でした。
「困っている人を助けたい」
どんなヒーローも、出発点はここにあったはず。
多くのキャラが乱立し複雑化しつつあるMCUであるからこそ、この言葉の持つ純粋さが一際輝いて見えました。
目的、目標、希望、夢。
どんなに長く、険しい道程であっても、それらを見失わない限り、いつかきっと一つの答えに辿りつく。
そんな希望をも感じさせてくれる名言だったと思います。
個人的にMCU史上最高クラスの傑作でした!
大迫力の決戦の行方を是非ともスクリーンでご覧ください!
札幌市内で『シビルウォー キャプテン・アメリカ』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」、「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。
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