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シネマレビュー その17 『ちはやふる -上の句-』

category :  2016.3.22 

末次由紀の大人気コミックを実写化した青春ドラマ。tihayafuru

幼いころ、かるたを通じて友情を結んだ千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)。高校に進学した千早は太一と共に競技かるた部を立ち上げ、離れ離れになった新と再会するべく仲間と共に全国大会出場を目指すが・・・

 

勇気を出して、恥をかく

 

原作は未読です。しかし一本の映画として違和感なくまとまっており、こうした作品が陥りがちなダイジェスト感はさほど感じませんでした。

 

かつては“駄作の山”とまで揶揄された漫画原作映画ですが、近年は本作や『寄生獣』、『バクマン。』などのように、しっかりブラッシュアップされた良作が増えてきましたね(^^)

 

とくに感心したのはその構成にあります。

 

本作は主演の広瀬すずさんのアイドル映画としての側面を担っていることは否定できないと思うのですが、かといって彼女を必要以上に前面に押し出そうとはしていないんですよね。

 

むしろ彼女を敢えてニュートラルな立ち位置に設定し、周囲の人間が彼女に感化され成長していく様にこそ力点を置いているんです。それによって、限られた時間内で各キャラクターの描き分けと掘り下げに成功していたと思います。

 

***

 

“青春時代”なんていうと甘酸っぱくキラキラと響くものですが、多くの人は挫折し、辛酸を舐めた思い出のほうが多いんじゃないかと思うんです(^^;

 

「恥をかきたくない」

思いを寄せる千早に無様な姿を見られたくないばかりに、頑張り切れない太一。

 

「かるたなんてやらなきゃ、こんな思いしなくて済んだのに!」

敗北を重ね、プライドをズタズタに引き裂かれた駒野(机くん)

 

理想と現実にはギャップがつきものです。

 

しかし、挫折を恐れて殻に閉じこもっていては決して人は成長しない。

とくに青春時代にその殻を破れるか否かでその人の一生は大きく左右されると思うんです。

 

大切なのは、恥をかく勇気が持てるかどうか。

厳しい現実に対し、大きな傷を負う覚悟で立ち向かってゆけるかどうかだと思うんですね。

 

そして、そんな彼らがもがき、成長していく過程がそのまま“かるた”という競技の面白さと、勝敗のロジックへ直結する終盤の展開は非常に見応えあるもので、下の句(後編)への期待を抱かせるに十分だったと思います。

 

少々ハイテンションに飛ばしすぎな感が否めない前半部分や、本作が漫画原作であることを悪い意味で想起させる大袈裟な演出など気になる箇所も少なくはありません。

 

しかし、人気漫画の映画化、それも競技かるたというマイナーで困難な題材に果敢に挑んだスタッフ、キャストの思いは随所に感じることが出来ました。原作ファン以外の方にもオススメできる、誠実に作られた力作だったと思います!

 

札幌市内で『ちはやふる -上の句-』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

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