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シネマレビュー その13 『オデッセイ』

category :  2016.2.8 

ode植物学者のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は火星での有人探査中に嵐に巻き込まれてしまう。彼が死亡したと判断した他のクルーは火星を去ってしまうが、ワトニーは奇跡的に一命をとりとめていた。水、空気、食糧のない死の世界で、ワトニーの孤独なサバイバル生活が始まった・・・

 

フロンティア精神、不滅なり

 

本作を観て連想したのが、2008年のピクサー映画『ウォーリー』でした。

お話そのものは全く異なりますが、描かれているテーマが非常に似通っていると思うんですよね。

 

つまり、これは文明と科学への賛歌であり、つまずきながらも前進を続ける我々人類へのエールであると思うんです。

 

本作の主人公・ワトニーは、水も空気も土もない不毛の地で生き延びるべく、化学反応で水を生成し、植物学の知識を利用してジャガイモを栽培し、原子力を応用して暖をとります。

 

まず、このサバイバル生活の描写が実に軽快で面白い!

てっきり絶望に打ちひしがれた描写が続くと思いきや、マット・デイモンのポジティブな演技も相まって本作で最も心躍るシークエンスとなっていたと思います(^^)

 

どんな道具も、すべては扱い方ひとつ。

終盤で登場する“破壊兵器”の利用法などその最たる例でありましょう。

 

本作が優れているのは、文明とは本来偉大なものであり、我々が前進してゆくためにこそあるんだということを一切の説教臭さなく、時にはユーモアを交えて描いて見せた点だと思うんですね。

 

そしてワトニーを救うべく多くの人間が知恵と体力を出し合い、一丸となって困難を乗り越えていく姿はまさしくフロンティア精神の鑑であり、我々が歩むべき理想の未来の爽やかな提示であったと思います。

 

本作の監督はリドリー・スコット。『エイリアン』『ブレードランナー』というSF映画の二大金字塔を打ち立てた巨匠中の巨匠なわけですが、期待値MAXで臨んだ2012年の『プロメテウス』が何かの冗談かと思うようなゲテモノ映画に仕上がってたんで若干の不安もあったんですよ(笑)

 

しかしごめんなさい、今回は本当に素晴らしかった!

SF映画に明るくない方でも十分に楽しめる娯楽性と、明快かつ時勢的にもぴったりなメッセージ性に富んだ傑作だったと思います。

 

***

 

この原稿を書いている途中、某国によって弾道ミサイルが放たれたという速報が流れました。

 

文明の利器を誤った方向に向けたとき、世界は破滅への道を辿りかねません。

世界がどのような道を歩むかは、その瞬間に問われる意志と決断にかかっています。

 

本作の結末が、絵空事にならないことを祈ります。

 

札幌市内で『オデッセイ』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」「ディノスシネマズ札幌劇場(ディノス札幌中央ビル7・8階)」です。

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