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シネマレビュー その42 『ジェイソン・ボーン』

category :  2016.10.24 

abc人気スパイアクションシリーズの第5弾。表の世界から姿を消していたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。彼はかつての同僚からCIAの極秘プログラムと、自身の過去についての新たな事実を告げられる。それを知ったCIAエージェントのリー(アリシア・ヴィキャンデル)は、彼の追跡に乗り出すが・・・

 

同じ事を繰り返すのでは・・・

 

スパイ映画でありながら“自分探し”という非常にミニマムな要素を縦軸に据えた物語。手持ちカメラと細かいカット割り駆使した大胆な編集によるリアリティ溢れる映像の数々。

 

『ボーン』シリーズの登場はアクション映画の歴史に名を刻む事件であり、その後に新たな潮流を生むきっかけにもなりました。

 

しかし物語に一応の決着がつき、さらに1作目からおよそ15年が経過した今。敢えてシリーズを再開させた意義は果たしてどこにあったのか。

 

残念ながら、最後までその疑問を晴らすことが出来ませんでした。

 

あらかじめ断っておくならば、本作の完成度は決して低くはないと思います。

 

マット・デイモン演じるボーンの存在感は年季を重ねたことでますます凄味を増したと思いましたし、“個人情報の保護と治安維持”というタイムリーな二極対立の構造を取り入れた物語も悪くはなかったと思います。

 

15年前なら、充分に楽しめる作品だったでしょう・・・そう、15年前ならば。

 

時が経ち、フォロワー作品も数多く作られたことで、かつては画期的だった一連の手法も残念ながら今ではごく“普通”としか受け止められなくなってしまっているんですね。

 

また、ボーンの自分探しにしても結局は前作からの“付け足し”の域を出ておらず、シリーズを再起動させてまで描くべき物語だったのかという疑問に対し説得力ある答えを提示出来ていません。

 

クライマックスに用意されているラスベガスでの特大のカーチェイスシーンは見事な迫力であり、これを観るだけでも十分に価値はあったと思いますが、本来このシリーズはそういった“ド派手”な映像をウリにした作品群のカウンターとして誕生したはずなんですよね。その意味ではなんというか、凡庸なアクション映画に落ち着いてしまった印象が拭えません。

 

ファンにとっては待望のシリーズ再開だったのですが、製作陣の志がその期待に応え切れていないといったかたちでした。

 

同じ事を繰り返していては、新しい時代は切り拓けない。

 

そんな言葉を思い出してしまうシリーズ最新作だったと思います。

 

札幌市内で『ジェイソン・ボーン』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

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