Home » 映画ブログ » » シネマレビュー その37 『ジャングル・ブック』

シネマレビュー その37 『ジャングル・ブック』

category :  2016.8.25 

6c62bae4f38bd6a1 オオカミに育てられた人間の少年、モーグリ(二―ル・セディ)は、ジャングルで暮らす多くの動物たちの愛情に包まれ ながら健やかに育っていた。しかし、かつての経験から人間に恐れを抱くトラのシア・カーン(声:イドリス・エルバ)は、モーグリがやがてジャングルを脅かす存在になると決めつけ、彼の追放を迫るが・・・

 

自分らしく。人間らしく。

 

「少年以外、すべてCG」という印象的なコピーが示す通り、本作は主演の二―ル君以外、全ての動物、背景がCGで描写されているそうです。実写版という呼称をされてはいるものの、事実上のCGアニメということが出来るでしょう。

 

とはいえ2009年の『アバター』や2013年の『ゼロ・グラビティ』など同様の手法によって製作された作品は数あれど、本作の映像から映し出される生命の躍動感はもはや別次元のレベルに達しており、実写とCGとの間に境界を設けることの意味すらも喪失させるほどのものだったと思います。

 

ここにきて、ついに成熟しきった感のあるデジタル技術。

しかし、それによって変化したのは映像表現だけではありません。

極限までリアルになった映像によって、紡がれる物語もまた新たな地平を切り開くことに成功しています。

 

オオカミに育てられ、オオカミの社会性を身に付けたとはいえ、身体能力で大きく劣るモーグリが他の仲間と同様の生き方が出来るはずもありません。競争ではいつも遅れをとり、他のメンバーより一歩二歩引いている彼の立ち位置が冒頭からはっきりと示されます。

 

しかし、逆に彼には他のオオカミにはない才能がありました。

それが人間ならではの“知恵”です。

モーグリは自然に溢れる様々な材料から道具を作り、能力の差を埋めようと試みます。

 

しかし、それはオオカミの社会では異端であり、咎められるべき行為でありました。つまり本作でのモーグリは、人間、オオカミ双方の社会から爪弾きにされてしまった宙ぶらりんな存在なんですね。

 

自分を取り巻く環境が自分に味方をしなかったとき、どのように社会と向き合っていくべきなのか。このような現実的かつ厳しいテーマを内包させることを、本作は実写さながらの世界を用意することで成功したのです。これは可愛らしい絵柄と陽気な歌声に彩られた1967年のアニメ版では描けなかったものだと思います。

 

そして、その答えを求め外の世界へと一歩足を踏み出すことが、新たな仲間、新たな思想との触れ合いを生み育て、やがて真の意味での自立を促してゆきます。とくに群れに属さず気ままに人生を謳歌するクマのバルーとの交流は、映像的な楽しさ以上にこの物語にとって非常に大きな意味を持つものであったのでしょう。

 

社会に隷属するのではなく、自分の持てる能力を最大限に生かし、個性を発揮してゆく努力を続けてゆく。“自分が変われば、世界も変わる”という非常にポジティブなメッセージは、時代を問わず多くの子ども、大人たちに受け入れられ、語られてゆくものと感じました。

 

新たな映像技術とメッセージ性が渾然一体となった、ディズニー入魂の作品です!ぜひ、劇場の大スクリーンで“体験”することをおすすめします!

 

札幌市内で『ジャングル・ブック』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

comment closed

 Copyright (C) Toyo Printing Co.,Ltd. All Rights Reserved.