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シネマレビュー その43 『スター・トレック BEYOND』

category :  2016.10.24 

abb人気SFシリーズのリブート版3作目。5年間の宇宙探査に出発したエンタープライズ号。しかし、艦長のカーク(クリス・パイン)と副艦長のスポック(ザッカリー・クイント)はそれぞれの立場について悩みを抱き、艦を降りる決意を固めつつあった。そんな折、正体不明の敵がエンタープライズ号を襲来し・・・

 

友情、努力、勝利・・・もうお腹いっぱい(^^;

 

ファンの方には言うまでもない事ですが、『スター・トレック』の魅力は何と言ってもそのドラマ性と先見性にあります。

 

60年代にスタートした本シリーズは、冷戦の真っただ中という時代背景にもかかわらず(いや、だからこそと言うべきでしょうか?)、人種、国籍、性別の壁が取り払われた理想の世界を描き、現実の世界へ一石を投じる挑戦的な物語を描き続けてきました。

 

2009年からスタートしたリブート版でも、娯楽性が強められこれまでのようなドラマ性はやや薄味となったものの、その精神はしっかりと受け継がれて来たように感じます。

 

完結編となる本作の主題は、“個人と集団”、“独立と団結”という二極対立。

本作の敵役であるクロールは、劇中で訴えます。

 

他者との連帯は、結果的に自分を弱めることに繋がりはしないか?

生き延びるため戦いに身を投じることこそが、自らを強くするのではないか?

 

このあたり、英国のEU離脱問題や米国のトランプ氏のような自国の利益優先の政治家の台頭といった社会問題に対する本作の意思表示が垣間見えますね。

 

ただ残念だったのが、これらの疑問に対する回答が形式的なものに留まってしまっているということ。早い話が少年マンガの王道である“友情・努力・勝利”と大差のないものになってしまっているんですよね。

 

決して王道を貶すわけではありません。描きようによってはこれ以上なく燃える展開であるのは間違いないでしょう。

 

ただ、わざわざ『スター・トレック』で2時間かけて“友情・努力・勝利”を描く必要があったのかと考えると、ちょっと疑問もありまして(^^;

 

こんな話、どっかで観たなぁと思ってたら、『ちはやふる』後篇のレビューでも同じようなこと書いていたんですよね(笑)

 

仲間との連帯、絆の強さ・・・たしかに大切だと思いますし、これ以上なく美しいものだとは思うのですが、どうも洋画、邦画にかかわらずこの手の話が最近、やたらと多い気がして、やや食傷気味というのが正直なところです。

 

また、ノリと勢いで敵を蹴散らしていく姿は爽快ではあるのですが、結局のところ本作において連帯が個人を上回るという根拠は“戦いに勝利した”という結果論でしかないと思うんですね。勝ったものが正しいというのであれば、それは単なる弱肉強食の世界にほかならず、場合によってはクラールの主張にこそ一定の説得力を与えてしまうことになりかねないと思います。(その意味では、『ちはやふる』の方がロジカルな回答を提示できていた気がします)

 

1作目では若かったクル―の面々も良い具合に成熟しはじめた今だからこそ、『スター・トレック』ならではの哲学的な要素をもっと強めてもよかったのでは。次回作があるならば、そういった部分にこそ力を注いでほしいと思いました。

 

 

札幌市内で『スター・トレック BEYOND』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)と「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

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