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シネマレビュー その38 『君の名は。』

category :  2016.9.28 

新海誠監督が手掛ける青春ファンタジーアニメ。acc

田舎町に住む少女・三葉はある日、自分が東京で暮らす少年になった夢を見る。一方、東京在住の少年・瀧も自分が田舎町に暮らす少女となる夢を見る。互いの夢を通じ、やがて互いの存在を認識し合う二人。そのころ地球には、1000年ぶりに飛来する大彗星が迫りつつあった・・・

 

想いがセカイを変えてゆく。

 

実を言いますと、本作については全くのノーマークでした。

観ると決めたのも世の中の異様なまでの盛り上がりと大ヒットによるものが大きかったわけで、予備知識もほとんどゼロの状態だったんです(^^;

 

とはいえ今回はそれが良い方向へと導いてくれたようで、およそ100分間の新海ワールド、十二分に堪能させていただくことが出来ました。

 

実はこのお話、物語を断片的に切り取ってみると目新しい要素は以外にも何もないんですよね。

 

少年少女の心が入れ替わるのは『転校生』などでお馴染みの使い古されたお話ですし、主人公たちの抱える問題がそのまま世界の命運を左右するといった展開(いわゆる“セカイ系”)も、『エヴァンゲリオン』以降、溢れるほどに量産されています。

 

しかし、にもかかわらず本作には既視感というものがほとんど感じられないんです。それどころか、誰もが驚くほどの新鮮さと高揚感に満ちた唯一無二の独創性を勝ち得ているんですね。

 

まず見事だったのが導入部だったと思います。

使い古されているとはいえ、互いの意識が入れ替わる(しかも性別も異なる者同士!)なんてこの上なく愉快なシチュエーションです。うまく描けば、いくらでも面白おかしく観る者を引き込めるはず。しかし本作は両者が入れ替わった“はじめの一日”を大胆にも省略してしまうんです。代わりに翌日、元に戻った二人が周囲から怪訝な目を向けられる様を端的に見せることで、入れ替わりという事実のみを観る者に想像させる作りになっているんですね

 

こうした部分に代表されるように、本作は大胆かつ的確な物語上の取捨選択を行うことで極力無駄が省かれたつくりとなっています。そのうえにRADWIMPSが奏でるスピーディな楽曲を乗せることで、あたかもPVを観ているかのような語り口を実現しているんですね。

 

このあたりの作風には賛否も分かれるところだとは思いますが、個人的にはこの“PV感”こそが本作の肝であると思いました。

 

個人の力では到底抗えないと思える災厄に対しても立ち向かい、走り続ける二人の若さ、想いの強さ。それらを見事にスクリーンで躍動させることに成功したのは、この演出によるものが非常に大きかったと思います。

 

新海監督自身が語る通り、まさしく本作が描くのは3.11という忘れがたい災害を経験した我々現実世界の人間にとっての希望そのものであったのでしょう。

 

ひとりひとりの想いの強さこそが、この世界を変えていく。

 

大ヒットも納得の、ファンタジーアニメの新たなる金字塔でした!

 

札幌市内で『君の名は。』を上映している映画館は「ユナイテッドシネマ札幌(サッポロファクトリー内)」「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

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