Home » 映画ブログ » » シネマレビュー その35 『シン・ゴジラ』(後篇)

シネマレビュー その35 『シン・ゴジラ』(後篇)

category :  2016.8.13 

そして、ある意味本作最大の特徴といえるのが徹底的に無駄が削ぎ落とされたドラマパートです。

 

登場人物は非常に多いにもかかわらず、本作には邦画によくありがちな恋愛要素、果ては市井の人々の描写に至るまでが徹底的に排除されています。

 

これは、本作が描こうとしているのが個人の人間性ではなく、個と個が結びついた日本という“クニ”全体の姿であるからなんですね。

 

突如現れたゴジラという災厄に対し、我々はどのように立ち向かい、乗り越えてゆくべきなのか。序盤で連呼される「想定外」という言葉。あまりの事態に全く対処できず恐れおののく姿をブラックコメディのごとく描きつつ、同時に日本人ならではの強さと美徳を武器にゴジラに立ち向かってゆくその姿は正しく3.11を経験した我々の鏡像であるのでしょう。

 

そして、忘れてはならないのが怪獣映画・特撮映画としての魅力にあふれた都市破壊シーン!

 

とくにアニメ出身監督としての才能と経験を十二分に発揮した終末感、絶望感溢れるゴジラの熱線発射シークエンスは、あのハリウッド版すら背中を向けて逃げ出すほどの凄まじい完成度!このシーンを観るためだけに何度も劇場へ通いつめたくなるほどでした(笑)

 

惜しむらくは、満を持して流れたはずのゴジラのテーマをはじめとする伊福部昭氏作曲の劇判がモノラル音声で今一歩迫力に欠けること。現代においても全く色褪せることなく興奮を掻き立てられる素晴らしい音楽の数々であるだけに、ここで疑問符が付く結果となってしまったのは非常に残念!

 

また、ゴジラの登場シーンと比較すると会議の場面などに割かれる時間の割合が非常に多く、中には退屈を覚えてしまう方も多いかもしれません。

 

しかし、それでも一時は死に体となっていた国産ゴジラ映画をこれほどまでに理想的な形で甦らせた本作には、本当に感謝の気持ちで一杯です。

 

まさに今、ゴジラ映画の歴史が大きく動きました。それは日本映画の歴史が動いたのと同義であると思います。

 

ゴジラ映画の持つ魅力を、全く新しい形で再定義して魅せてくれた本作。

この夏最大のオススメ作品であると、自信を持ってここに記したいと思います!

 

札幌市内で『シン・ゴジラ』を上映している映画館は「ユナイテッド・シネマ札幌(サッポロファクトリー内)」「札幌シネマフロンティア(ステラプレイス内)」です。

comment closed

 Copyright (C) Toyo Printing Co.,Ltd. All Rights Reserved.