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シネマレビュー その35 『シン・ゴジラ』(前篇)

category :  2016.8.13 

main 『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明氏が手掛ける12年振りのシリーズ最新作。突如出現した未知の巨大生物 に対し、日本政府は自衛隊に防衛出動命令を下す。しかし、“ゴジラ”と名付けられたその生物にはいかなる攻撃も通用せず、首都・東京は壊滅状態に追い込まれ・・・

 

本当に“シン”ゴジラだった・・・!

 

観る前は不安で一杯でした。

 

ひとつは、一昨年のハリウッド版ゴジラが、(言いたいことは沢山ありますが(笑))圧巻の映像と怪獣への敬意に満ちた良作だったため。もう日本で何を作ってもコレを越えることは不可能ではないかという思いが少なからずあったんですよね。

 

もうひとつは、監督が“あの”庵野秀明氏だから(笑)

これはまぁ、期待の裏返しでもあるんですが、本当に完成するのか、また暴走するのではないかという不安はどうしても拭えなかったんです(^^;

 

・・・しかし、全ては杞憂に終わりました。

 

豊かな想像力は、予算や技術力の差を超越する!

これまで誰も観た事のない“ゴジラ”。

それでいて、紛うかた無き正真正銘の“ゴジラ”!

日本特撮映画史上にその名を残すであろう、傑作・・・もとい、怪作がここに誕生しました!

 

***

 

思うにこれまでのゴジラ映画は、常に時代との戦いの繰り返しでした。

その時代の流行、社会問題を取り入れながら、少しずつ、時として大胆にゴジラというキャラクターの定義は変遷を続けてきたんですね。

 

しかし、唯一揺るがなかったのが1954年に公開された1作目の存在です。

怪獣映画の金字塔として現在でもなお君臨し続けるその存在は余りに多くの畏敬の念を集め過ぎた結果、いつしか“1作目こそが原点にして頂点である”という固定概念を生んでしまい、誰一人としてその壁に触れることすらできませんでした。

 

そんな“聖典”に、現代的再解釈を取り入れ真っ向から戦いを挑んだこと。

それこそが、本作における最大の功績だとぼくは思います。

 

つまり、多くの人が抱く“ゴジラ像”といったものを完全に解体し、必要最低限の部分のみ残しているんです。

 

即ち、ゴジラとは人類の力では制御不可能な災いであり、戦争、核といったもののメタファーであるということ。この根幹となる部分だけを残し、残る要素はバッサリと切り捨てたんですね。

 

予測不能な動きを続けながら様々な姿に変態を遂げていくその姿は、ゴジラをよく知る人々にすら鮮烈な驚きを与えることに成功しつつ、それでもなお、本作をゴジラ映画足らしめる説得力に満ち満ちていたと思います。

 

(後篇へつづく)

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